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交通事故慰謝料<span> by 弁護士法人心</span>

お役立ち情報

物損事故の場合の慰謝料請求

1 物損事故の慰謝料の傾向

一般的に,物損に対する慰謝料は認められないと考えられています。

しかし,物損であっても,被害者のその物に対する特別の愛情が侵害されたようなときや,その物損が被害者の精神的平穏を著しく害するような場合には,慰謝料が認められることもあります。

しかし,物損について慰謝料が認められるというのはレアケースだと思ってください。

示談段階はもとより,裁判段階でも,かなりの特別な事情がない限り,どれだけその物に愛着があったとか,世界に一つしかなかったものだという理由では,なかなか慰謝料を認めてくれることは厳しいと思ってください。

2 ペットに関する慰謝料について

動物は,民法上所有の対象として物として扱われます。

それゆえ,例えば,飼い犬が自動車にひかれて死亡したことによる損害としては,裁判実務上,滅失時における交換価値をもって賠償されるにすぎません(東京地判昭和45年7月13日判例時報615・35)。

しかし,最近,ペットなどの愛玩動物は,家族の一員であるとして,飼い主にとっては人間の家族と同じようにかけがえのない存在であることが少なくありません。

そうであるならば,家族の一員として飼っていたペットが,交通事故により,死亡したとか死亡に匹敵するような重い傷害を負い,飼い主が精神的苦痛を被った場合には,慰謝料が賠償されてしかるべきでしょう。

このようなケースでは,財産的損害の賠償によっては,慰謝されることのできない精神的苦痛があったといえるでしょう。

したがって,このような場合には,財産的損害だけでなく,慰謝料を請求することもできるでしょう。

ただ,請求はできるとしても,実際に賠償してくれるかどうかは難しい場合もあります。

3 例外的に自動車の損壊事故について慰謝料を認めた裁判例

被害車両が入手困難な外車であること,取得後わずか4か月の事故で,その後,7か月使用ができず不便を強いられたこと,もらい事故でありながら加害者が死亡し,被害車両に対する不快感を植え付けられたこと,事故時にハンドルに手をぶつけ湿布の手当てを必要としたこと等から,慰謝料20万円を認めた裁判例があります(仙台地判平成4年11月20日自保ジャーナル908号)。